2026年9月時点の法令・警察庁通達・警察の公開案内を確認して作成

古物の買取時に相手方確認が必要かは、まず今回の取引の対価総額が1万円以上かを見ます。1万円未満でも対象となる古物があり、必要な取引では住所・氏名・職業・年齢を法定の方法で確認します。宅配・ネット取引では、身分証の画像やコピーを受け取るだけで完了するとは限りません。

先に覚える4点
  1. 1万円は商品1点の値札ではなく、今回一度に持ち込まれた品の対価総額で見る(消費税を含めない解釈)。
  2. 1万円未満でも例外の7グループは確認・記録の対象。
  3. 確認項目は住所・氏名・職業・年齢。免許証だけで職業まで分かるわけではない。
  4. 非対面は規則で定める確認方式の組み合わせを使う。免許証画像だけをメールでもらう方法では足りない。

まずYES / NOで確認:この買取は本人確認が必要?

古物の買受け・交換・売却等の委託を受ける
今回の取引の対価総額(税抜)は1万円以上?
YES:相手方確認と、必要な取引記録を行う
NO:下の7グループに当たる?
YES:1万円未満でも確認・記録を行う
NO:古物営業法15条の相手方確認等は原則免除
ただし:「法15条の確認義務が原則免除」という枝でも、未成年者に関する都道府県条例や別制度がなくなる意味ではありません。警視庁は非対面取引で1万円未満の場合も18歳未満からの買取りでないことを確認するよう案内しています。営業地域の条例・警察案内を確認してください。

「1万円」は1点の価格ではなく、取引全体の対価総額

例:複数品を一度に買い取る

時計 6,000円 + バッグ 5,000円
合計 11,000円 → 確認対象

例:消費税の扱い

警察庁の2026年5月14日通達では、1万円基準は消費税を含まない解釈。税抜の対価が1万円以上なら確認等が必要です。

警察庁通達は「対価の総額」を、一度に持ち込まれた物品の対価を全部足した額と説明しています。商品1点ずつに分けて値段を見て終わり、ではありません。

一方、複数回に分けて各回の総額が1万円未満となった取引について、通達は各回で免除となる扱いを示しています。ただし、正当な理由なく分割して売却しようとするなど不自然な事情があると、古物商から警察官への申告義務が生じる場合があります。取引実態を見ずに「分ければ必ず不要」とは判断できません。

1万円未満でも確認・記録が必要な7グループ

古物営業法施行規則第16条と警察庁の現行通達による対象です。2025年10月1日施行の改正で、室外ユニット等・電線・金属製グレーチングが加わりました。

🏍️ バイク・原付と一部部品

自動二輪車・原動機付自転車、およびねじ・ボルト・ナット・コード等の汎用部品を除く一定の部分品。

❄️ 空調・給湯の屋外ユニット

エアコンディショナーの室外ユニット(室外機)と、電気温水機器のヒートポンプ。形が似ていても品名・用途を確認。

🎮 家庭用ゲームソフト

家庭用コンピュータゲームに用いるプログラムを記録した物。ゲーム機本体とは別の扱い。

💿 光学記録ディスク

音楽・映画等を光学的方法で記録したCD、DVD、Blu-ray、LD等。テープやフラッシュメモリ等はこの項目とは別。

⚡ 電線

銅線・アルミ線など素材を問わず、送電を主目的とする電線。LAN・テレビ接続ケーブル、延長コード、充電ケーブルは対象外と通達に明記。

▦ 金属製グレーチング

側溝などのふたに使う格子状のもの。鉄・アルミ等の金属製が対象で、コンクリート製・FRP製は対象外。

📚 書籍

単行本、文庫、漫画などの書籍。1万円未満でも対象。商品券など「金券類」と混同しない。

区分の混同に注意:ゲーム機本体は「ゲームソフト」の例外とは同じではありません。ゲームソフト、CD/DVD、書籍などの対象古物は、1万円未満でも確認等が必要です。金属くず・廃製品は古物に当たるかで別制度が関係することがあるため、金属盗対策法上の特定金属くずと古物を混同しないでください。

本人確認で見る4項目

🏠 住所

本人の申告と資料等を照合

👤 氏名

取引する本人の氏名

💼 職業

免許証に記載がないことが多く、別に確認

🎂 年齢

生年月日・年齢を確かめる

古物営業法第15条は、取引相手方の住所・氏名・職業・年齢の確認等を定めています。本人確認書類に書かれている項目だけで、4項目すべて確認したことにはなりません。職業など書類にない項目は、必要な申出を受けるなどして確認します。

NG:免許証を見たから完了

住所・氏名・生年月日は読めても、職業欄は通常ありません。ほかに必要な確認を飛ばせません。

OK:4項目をそれぞれ確認

住所・氏名・職業・年齢を確認し、所定の取引記録にも必要な情報と確認方法を残します。

対面と非対面で、確認方法が変わる

対面(店頭・訪問先など)

本人と対面して、法15条・施行規則に沿った確認を行います。書類提示は一つの方法ですが、免許証だけが唯一の方法ではありません。

非対面(宅配・ネット等)

本人の申告住所が正しいか、なりすましでないかを確かめる必要があります。規則第15条第3項に定める方式を、必要な組み合わせごと満たします。

店頭での基本の流れ

本人と品物を受け付ける
住所・氏名・職業・年齢を確認
本人確認方法に応じた必要な処置を行う
対象取引なら取引日・品目・数量・特徴・相手方情報・確認方法を記録

対面で確認した身分証のコピー保存が全国一律に義務とは限りません。法令上の確認と帳簿等への記録は分けて考え、業務で資料を保存するなら個人情報の保管・アクセス制御・不要後の廃棄にも配慮します。

宅配・ネット仕入れの非対面確認:画像だけでは足りない

古物営業法施行規則第15条第3項は、署名・公的証明・書留到達・口座振込・本人撮影画像等を使う複数の方式を定めています。下の図は方式の種類をまとめた案内で、どれか1要素だけを抜き出して使えばよい、という意味ではありません。

電子署名・電子証明書

電子署名付きの住所等の記録、公的個人認証や認定署名検証者の証明書など。署名・証明書の有効性と記録内容を検証。

印鑑登録証明書+押印書面

登録印を押した申込書等と印鑑登録証明書を受け、住所等の申出も確認。

本人限定受取郵便等

古物商から本人限定受取郵便物等を送り、到達を確認。単なる宅配便を本人限定郵便として扱わない。

住民票等+転送不要郵便

自治体が発行した住民票の写し等と品物を受け、記載住所へ転送しない郵便等を送って到達を確認。住所等の申出も必要。

本人名義口座への振込

住民票等に記載の本人名義口座へ代金を振り込む契約など、書類・申出・支払先の組合せで確認。

身分証コピー+住所到達等

身分証のコピーだけではなく、転送しない郵便の到達確認や本人名義口座への振込等、規則に定める追加措置を組み合わせる方式。

書類複数点+住所到達

異なる身分証2点、または身分証1点と所定の住所資料等を受け、住所宛ての転送不要郵便等で到達確認。

本人撮影・ICチップ等

古物商が提供するソフトウェアを使うリアルタイム撮影、本人の容貌と写真付き証明書、真正なICチップ情報などの方式。規則に定める画像条件・照合が必要。

過去に確認済みの顧客

初回に法定措置を取り、第三者がなりすましにくいID・パスワード等で同一人物と確かめる継続方式。会員番号を書かせるだけでは足りない。

「免許証の写真をメールでもらっただけ」はNG。
本人確認書類のコピー・画像を受け取った後に転送不要郵便等を住所へ届けて到達を確認する、本人名義口座に振り込む、古物商が提供する所定ソフトウェアでその場撮影するなど、採用方式に必要な手順全部を満たしてください。本人限定郵便や住所到達確認が必要な方式で、簡易書留を送るだけ/普通の宅配便を送るだけでは要件を満たさない場合があります。
本人限定郵便、現住所確認、写真撮影、ICチップ情報の扱いは方式ごとに細則があります。実際の運用前に、警視庁「非対面取引における確認の方法」と施行規則を照合してください。eKYCという名称だけで適法性が決まるわけではありません。導入サービスの手順が、施行規則のどの方式を満たすかを確認します。

メルカリ・ヤフオクなどから仕入れるとき

出品者
↓ 出品・購入の場
フリマ/オークションのプラットフォーム
↓ 古物商が仕入れる
古物商自身が法定の確認要件を確認

プラットフォームのアカウント認証や本人確認済み表示があっても、それだけで古物商自身の相手方確認義務を果たしたことにはなりません。1万円以上、または例外品なら、相手方ごとに確認します。ネットで相手と直接会わない取引は、非対面の法定方式を使います。

警視庁は、古物商同士の取引でも相手方の確認義務は免除されないと案内しています。「相手も許可業者だから確認不要」と決めつけず、営業所間の仕入れでも確認手順を用意してください。

法人から買い取るとき:確認するのは現場の担当者

法人名義で売却を申し込む
↓
実際に取引を担当する自然人を確認
+
法人との関係・支払先などを採用方式に応じて確認

警察庁の2026年5月14日通達は、契約当事者が法人でも「相手方」は現に取引の任に当たる自然人としています。担当者の住所・氏名・年齢・職業を確認します。非対面では、たとえば担当者の住民票等、法人の登記事項証明書、担当者が法人の取引担当者であることを示す委任状等、法人名義口座を組み合わせる方法が警視庁案内に示されています。これは一例で、すべての法人取引に同じ書類セットを一律に求める意味ではありません。

18歳未満からの買取:国の法律と都道府県条例を分ける

古物営業法・警察案内

必要な取引では年齢確認を行います。警視庁は、非対面なら1万円未満でも18歳未満からの買取りでないことを確認するよう案内しています。

都道府県の青少年条例

年齢要件・禁止範囲・例外は地域条例を確認。宮城県条例の例では営業に関する青少年からの買受け等を原則禁止し、保護者の委託・同意等の例外を置いています。

宮城県の例外を全国共通ルールとして扱うことはできません。「保護者の同意書があれば全国どこでも買い取れる」ともいえません。営業地域や取引形態に応じ、管轄警察と自治体の最新条例・案内を確認してください。

本人確認と「身分証コピー」は別

本人確認

取引相手が誰かを法令に沿った方法で確かめること。対面・非対面で必要な手順が異なります。

身分証コピー

採用する法定方式で使うことがある資料の一つ。コピーを持っていること自体が、確認完了を意味するわけではありません。

対面取引で本人確認書類のコピーを全国一律に保存しなければならないわけではありません。一方、非対面の方式の中には、送信された画像を帳簿等と一緒に保存する必要があるものがあります。何をいつ保存するかは、選んだ方式の条文・警察案内に沿ってください。

マイナンバーカードは表面と裏面を分けて考える

表面:本人確認資料として使える

個人番号保護委員会は、身分証明書の写しとして表面をコピーすることは問題ないと案内しています。

氏名・住所等と顔写真がある面

裏面:個人番号を収集・コピーしない

番号法で定められた場合以外に個人番号をコピー・収集することは制限されています。本人確認目的で裏面を送信・コピーさせないでください。

非対面の写真方式でも、マイナンバーカード裏面を送らせない。

警視庁のリアルタイム撮影方式の案内も、マイナンバーカードは表面と厚みの画像を受け、裏面は個人番号が載るため送信させないよう注意しています。本人確認に不要な番号まで集めない運用にします。

本人確認と古物台帳への記録も別の手順

① 相手方を法定方式で確認
↓
② 取引を行う
↓
③ 対象取引について、取引内容・相手方・確認方法を帳簿等へ記録

記録の基本項目は、取引年月日、古物の品目・数量・特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢(例外あり)、法15条で取った措置の区分と方法などです。本人確認の画面や免許証コピーを持つだけで、帳簿等の記載を置き換えられるとは限りません。保存期間や記載範囲は取引区分ごとに確認してください。

本人確認後の取引記録・古物台帳については、シリーズ第8弾「古物台帳とは?」をご覧ください。

ここまで読めばOK:買取前のチェックリスト

□ 取引全体の対価総額を確認した(商品1点の価格だけで判定していない)
□ 税込表示の場合、税抜の対価を確認した
□ 1万円未満なら、例外の7グループに該当しないか確認した
□ 住所・氏名・職業・年齢を確認した
□ 対面か非対面かを区別した
□ 非対面は採用した規則上の方式の要件をすべて満たした
□ プラットフォームの認証だけを古物商自身の確認の代わりにしていない
□ 法人なら実際の取引担当者を確認した
□ 未成年者・青少年の地域条例を確認した
□ 必要な取引記録と画像保存を方式に応じて行った
□ マイナンバーの裏面を取得していない

間違えやすいNG / OK

NG:商品1点が9,000円だから確認不要

OK:取引の対価総額と例外品を確認

NG:ゲームソフトは9,000円だから不要

OK:1万円未満でも例外品に当たる

NG:免許証の提示だけで4項目すべて確認

OK:職業など書類にない項目も別途確認

NG:免許証画像をメールで受け取れば宅配買取完了

OK:非対面の法定方式に定められた組合せを完了

NG:フリマの本人確認済みバッジで古物商の義務も完了

OK:古物商自身が相手方と確認方法を確認

NG:相手も古物商だから本人確認不要

OK:古物商間でも相手方確認は必要

NG:法人代表名だけを確認

OK:取引の任に当たる担当者を確認

NG:本人確認書類の両面コピーを保管

OK:必要な資料だけを方式に応じて保存し、個人番号裏面は取得しない

NG:本人確認したので台帳は不要

OK:確認と帳簿等への記録を別々に行う

本人確認後の取引記録をまとめて管理するなら

本人確認そのものは、古物営業法に沿って古物商が実施します。確認が済んだ後の査定・顧客・商品・取引・古物台帳・帳票を一件の買取業務として管理したい場合は、MINE PRIMEも選択肢です。MINE PRIMEをeKYCサービスや、本人確認・法令適合を自動保証する仕組みとして紹介するものではありません。

本人確認:古物商が法定方式で実施
↓ 確認後の記録・業務管理
顧客・査定・商品・取引・帳票を管理

よくある質問

Q. 本人確認は1万円から必要ですか?

原則として、1万円以上(税抜)の対価総額となる取引では必要です。1万円未満でも、例外の7グループは確認等の対象です。都道府県条例や取引形態による確認にも注意します。

Q. 1万円は商品1点の値段ですか?

いいえ。警察庁通達は、一度に持ち込まれた物品の対価をすべて合計した額と説明しています。消費税を含めない解釈です。

Q. 免許証を見れば十分ですか?

免許証に記載された情報だけでは職業などが分からないことがあります。住所・氏名・職業・年齢をそれぞれ確認してください。

Q. 免許証のコピーや写真を送ってもらえば宅配買取できますか?

画像を受け取るだけでは足りません。非対面方式に定められた追加手順を組み合わせてください。警視庁の案内に具体例があります。

Q. eKYCサービスを使えば、どのサービスでも大丈夫ですか?

サービスの名称だけでは判断できません。本人撮影や本人確認書類の確認、住所到達確認など、導入する具体的な手順が施行規則のいずれの方式を満たすか確認します。

Q. メルカリやヤフオクで仕入れる場合も必要ですか?

必要な取引なら古物商自身が確認します。プラットフォームの本人確認表示だけでは、古物商の義務を果たしたことになりません。

Q. 相手も古物商なら確認不要ですか?

いいえ。警視庁は古物商同士でも相手方確認義務が免除されないと案内しています。

Q. 法人から買う場合、法人の年齢を確認するのですか?

いいえ。契約当事者が法人でも、現に取引の任に当たる自然人の住所・氏名・年齢・職業を確認します。法人との関係や支払先等は採用する確認方式に従います。

Q. 未成年者からは保護者同意書があれば買い取れますか?

全国一律には答えられません。条例の適用地域、定義、例外を確認してください。宮城県条例の例を他地域にそのまま当てはめないでください。

Q. マイナンバーカードは両面コピーしてよいですか?

本人確認書類として使う場合も、個人番号が載る裏面を本人確認目的でコピー・送信させないでください。表面の写しに関する案内は個人情報保護委員会のFAQを確認してください。

Q. 本人確認した内容は古物台帳にも書きますか?

対象となる取引は、確認した内容や方法を帳簿等に記録します。本人確認と台帳記録は別の義務として整理してください。

Q. MINE PRIMEで本人確認できますか?

本記事で案内するMINE PRIMEの用途は、確認後の査定・顧客・商品・取引・台帳・帳票などの業務管理です。法定本人確認やeKYCを自動完了するサービスとしては案内していません。

古物商シリーズを読む

参考にした一次情報

本記事は一般的な実務情報です。品目、取引形態、非対面方式、未成年者取引の扱いが個別に判断しにくい場合は、営業所を管轄する警察署等に確認してください。