2026年9月時点の法令・警察庁通達・警察の公開案内を確認して作成
古物の買取時に相手方確認が必要かは、まず今回の取引の対価総額が1万円以上かを見ます。1万円未満でも対象となる古物があり、必要な取引では住所・氏名・職業・年齢を法定の方法で確認します。宅配・ネット取引では、身分証の画像やコピーを受け取るだけで完了するとは限りません。
- 1万円は商品1点の値札ではなく、今回一度に持ち込まれた品の対価総額で見る(消費税を含めない解釈)。
- 1万円未満でも例外の7グループは確認・記録の対象。
- 確認項目は住所・氏名・職業・年齢。免許証だけで職業まで分かるわけではない。
- 非対面は規則で定める確認方式の組み合わせを使う。免許証画像だけをメールでもらう方法では足りない。
まずYES / NOで確認:この買取は本人確認が必要?
「1万円」は1点の価格ではなく、取引全体の対価総額
時計 6,000円 + バッグ 5,000円
合計 11,000円 → 確認対象
警察庁の2026年5月14日通達では、1万円基準は消費税を含まない解釈。税抜の対価が1万円以上なら確認等が必要です。
警察庁通達は「対価の総額」を、一度に持ち込まれた物品の対価を全部足した額と説明しています。商品1点ずつに分けて値段を見て終わり、ではありません。
一方、複数回に分けて各回の総額が1万円未満となった取引について、通達は各回で免除となる扱いを示しています。ただし、正当な理由なく分割して売却しようとするなど不自然な事情があると、古物商から警察官への申告義務が生じる場合があります。取引実態を見ずに「分ければ必ず不要」とは判断できません。
1万円未満でも確認・記録が必要な7グループ
古物営業法施行規則第16条と警察庁の現行通達による対象です。2025年10月1日施行の改正で、室外ユニット等・電線・金属製グレーチングが加わりました。
自動二輪車・原動機付自転車、およびねじ・ボルト・ナット・コード等の汎用部品を除く一定の部分品。
エアコンディショナーの室外ユニット(室外機)と、電気温水機器のヒートポンプ。形が似ていても品名・用途を確認。
家庭用コンピュータゲームに用いるプログラムを記録した物。ゲーム機本体とは別の扱い。
音楽・映画等を光学的方法で記録したCD、DVD、Blu-ray、LD等。テープやフラッシュメモリ等はこの項目とは別。
銅線・アルミ線など素材を問わず、送電を主目的とする電線。LAN・テレビ接続ケーブル、延長コード、充電ケーブルは対象外と通達に明記。
側溝などのふたに使う格子状のもの。鉄・アルミ等の金属製が対象で、コンクリート製・FRP製は対象外。
単行本、文庫、漫画などの書籍。1万円未満でも対象。商品券など「金券類」と混同しない。
本人確認で見る4項目
本人の申告と資料等を照合
取引する本人の氏名
免許証に記載がないことが多く、別に確認
生年月日・年齢を確かめる
古物営業法第15条は、取引相手方の住所・氏名・職業・年齢の確認等を定めています。本人確認書類に書かれている項目だけで、4項目すべて確認したことにはなりません。職業など書類にない項目は、必要な申出を受けるなどして確認します。
住所・氏名・生年月日は読めても、職業欄は通常ありません。ほかに必要な確認を飛ばせません。
住所・氏名・職業・年齢を確認し、所定の取引記録にも必要な情報と確認方法を残します。
対面と非対面で、確認方法が変わる
本人と対面して、法15条・施行規則に沿った確認を行います。書類提示は一つの方法ですが、免許証だけが唯一の方法ではありません。
本人の申告住所が正しいか、なりすましでないかを確かめる必要があります。規則第15条第3項に定める方式を、必要な組み合わせごと満たします。
店頭での基本の流れ
対面で確認した身分証のコピー保存が全国一律に義務とは限りません。法令上の確認と帳簿等への記録は分けて考え、業務で資料を保存するなら個人情報の保管・アクセス制御・不要後の廃棄にも配慮します。
宅配・ネット仕入れの非対面確認:画像だけでは足りない
古物営業法施行規則第15条第3項は、署名・公的証明・書留到達・口座振込・本人撮影画像等を使う複数の方式を定めています。下の図は方式の種類をまとめた案内で、どれか1要素だけを抜き出して使えばよい、という意味ではありません。
電子署名付きの住所等の記録、公的個人認証や認定署名検証者の証明書など。署名・証明書の有効性と記録内容を検証。
登録印を押した申込書等と印鑑登録証明書を受け、住所等の申出も確認。
古物商から本人限定受取郵便物等を送り、到達を確認。単なる宅配便を本人限定郵便として扱わない。
自治体が発行した住民票の写し等と品物を受け、記載住所へ転送しない郵便等を送って到達を確認。住所等の申出も必要。
住民票等に記載の本人名義口座へ代金を振り込む契約など、書類・申出・支払先の組合せで確認。
身分証のコピーだけではなく、転送しない郵便の到達確認や本人名義口座への振込等、規則に定める追加措置を組み合わせる方式。
異なる身分証2点、または身分証1点と所定の住所資料等を受け、住所宛ての転送不要郵便等で到達確認。
古物商が提供するソフトウェアを使うリアルタイム撮影、本人の容貌と写真付き証明書、真正なICチップ情報などの方式。規則に定める画像条件・照合が必要。
初回に法定措置を取り、第三者がなりすましにくいID・パスワード等で同一人物と確かめる継続方式。会員番号を書かせるだけでは足りない。
本人確認書類のコピー・画像を受け取った後に転送不要郵便等を住所へ届けて到達を確認する、本人名義口座に振り込む、古物商が提供する所定ソフトウェアでその場撮影するなど、採用方式に必要な手順全部を満たしてください。本人限定郵便や住所到達確認が必要な方式で、簡易書留を送るだけ/普通の宅配便を送るだけでは要件を満たさない場合があります。
メルカリ・ヤフオクなどから仕入れるとき
プラットフォームのアカウント認証や本人確認済み表示があっても、それだけで古物商自身の相手方確認義務を果たしたことにはなりません。1万円以上、または例外品なら、相手方ごとに確認します。ネットで相手と直接会わない取引は、非対面の法定方式を使います。
警視庁は、古物商同士の取引でも相手方の確認義務は免除されないと案内しています。「相手も許可業者だから確認不要」と決めつけず、営業所間の仕入れでも確認手順を用意してください。
法人から買い取るとき:確認するのは現場の担当者
警察庁の2026年5月14日通達は、契約当事者が法人でも「相手方」は現に取引の任に当たる自然人としています。担当者の住所・氏名・年齢・職業を確認します。非対面では、たとえば担当者の住民票等、法人の登記事項証明書、担当者が法人の取引担当者であることを示す委任状等、法人名義口座を組み合わせる方法が警視庁案内に示されています。これは一例で、すべての法人取引に同じ書類セットを一律に求める意味ではありません。
18歳未満からの買取:国の法律と都道府県条例を分ける
必要な取引では年齢確認を行います。警視庁は、非対面なら1万円未満でも18歳未満からの買取りでないことを確認するよう案内しています。
年齢要件・禁止範囲・例外は地域条例を確認。宮城県条例の例では営業に関する青少年からの買受け等を原則禁止し、保護者の委託・同意等の例外を置いています。
宮城県の例外を全国共通ルールとして扱うことはできません。「保護者の同意書があれば全国どこでも買い取れる」ともいえません。営業地域や取引形態に応じ、管轄警察と自治体の最新条例・案内を確認してください。
本人確認と「身分証コピー」は別
取引相手が誰かを法令に沿った方法で確かめること。対面・非対面で必要な手順が異なります。
採用する法定方式で使うことがある資料の一つ。コピーを持っていること自体が、確認完了を意味するわけではありません。
対面取引で本人確認書類のコピーを全国一律に保存しなければならないわけではありません。一方、非対面の方式の中には、送信された画像を帳簿等と一緒に保存する必要があるものがあります。何をいつ保存するかは、選んだ方式の条文・警察案内に沿ってください。
マイナンバーカードは表面と裏面を分けて考える
個人番号保護委員会は、身分証明書の写しとして表面をコピーすることは問題ないと案内しています。
氏名・住所等と顔写真がある面
番号法で定められた場合以外に個人番号をコピー・収集することは制限されています。本人確認目的で裏面を送信・コピーさせないでください。
非対面の写真方式でも、マイナンバーカード裏面を送らせない。
警視庁のリアルタイム撮影方式の案内も、マイナンバーカードは表面と厚みの画像を受け、裏面は個人番号が載るため送信させないよう注意しています。本人確認に不要な番号まで集めない運用にします。
本人確認と古物台帳への記録も別の手順
記録の基本項目は、取引年月日、古物の品目・数量・特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢(例外あり)、法15条で取った措置の区分と方法などです。本人確認の画面や免許証コピーを持つだけで、帳簿等の記載を置き換えられるとは限りません。保存期間や記載範囲は取引区分ごとに確認してください。
本人確認後の取引記録・古物台帳については、シリーズ第8弾「古物台帳とは?」をご覧ください。
ここまで読めばOK:買取前のチェックリスト
間違えやすいNG / OK
OK:取引の対価総額と例外品を確認
OK:1万円未満でも例外品に当たる
OK:職業など書類にない項目も別途確認
OK:非対面の法定方式に定められた組合せを完了
OK:古物商自身が相手方と確認方法を確認
OK:古物商間でも相手方確認は必要
OK:取引の任に当たる担当者を確認
OK:必要な資料だけを方式に応じて保存し、個人番号裏面は取得しない
OK:確認と帳簿等への記録を別々に行う
本人確認後の取引記録をまとめて管理するなら
本人確認そのものは、古物営業法に沿って古物商が実施します。確認が済んだ後の査定・顧客・商品・取引・古物台帳・帳票を一件の買取業務として管理したい場合は、MINE PRIMEも選択肢です。MINE PRIMEをeKYCサービスや、本人確認・法令適合を自動保証する仕組みとして紹介するものではありません。
よくある質問
Q. 本人確認は1万円から必要ですか?
原則として、1万円以上(税抜)の対価総額となる取引では必要です。1万円未満でも、例外の7グループは確認等の対象です。都道府県条例や取引形態による確認にも注意します。
Q. 1万円は商品1点の値段ですか?
いいえ。警察庁通達は、一度に持ち込まれた物品の対価をすべて合計した額と説明しています。消費税を含めない解釈です。
Q. 免許証を見れば十分ですか?
免許証に記載された情報だけでは職業などが分からないことがあります。住所・氏名・職業・年齢をそれぞれ確認してください。
Q. 免許証のコピーや写真を送ってもらえば宅配買取できますか?
画像を受け取るだけでは足りません。非対面方式に定められた追加手順を組み合わせてください。警視庁の案内に具体例があります。
Q. eKYCサービスを使えば、どのサービスでも大丈夫ですか?
サービスの名称だけでは判断できません。本人撮影や本人確認書類の確認、住所到達確認など、導入する具体的な手順が施行規則のいずれの方式を満たすか確認します。
Q. メルカリやヤフオクで仕入れる場合も必要ですか?
必要な取引なら古物商自身が確認します。プラットフォームの本人確認表示だけでは、古物商の義務を果たしたことになりません。
Q. 相手も古物商なら確認不要ですか?
いいえ。警視庁は古物商同士でも相手方確認義務が免除されないと案内しています。
Q. 法人から買う場合、法人の年齢を確認するのですか?
いいえ。契約当事者が法人でも、現に取引の任に当たる自然人の住所・氏名・年齢・職業を確認します。法人との関係や支払先等は採用する確認方式に従います。
Q. 未成年者からは保護者同意書があれば買い取れますか?
全国一律には答えられません。条例の適用地域、定義、例外を確認してください。宮城県条例の例を他地域にそのまま当てはめないでください。
Q. マイナンバーカードは両面コピーしてよいですか?
本人確認書類として使う場合も、個人番号が載る裏面を本人確認目的でコピー・送信させないでください。表面の写しに関する案内は個人情報保護委員会のFAQを確認してください。
Q. 本人確認した内容は古物台帳にも書きますか?
対象となる取引は、確認した内容や方法を帳簿等に記録します。本人確認と台帳記録は別の義務として整理してください。
Q. MINE PRIMEで本人確認できますか?
本記事で案内するMINE PRIMEの用途は、確認後の査定・顧客・商品・取引・台帳・帳票などの業務管理です。法定本人確認やeKYCを自動完了するサービスとしては案内していません。
古物商シリーズを読む
参考にした一次情報
- 古物営業法(第15条・第16条)
- 古物営業法施行規則(第15条・第16条)
- 警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について(通達)」2026年5月14日
- 警視庁「非対面取引における確認の方法」2026年2月12日更新
- 警視庁「古物営業法施行規則の一部改正について」2025年10月1日施行
- 宮城県青少年健全育成条例(第29条)
- 個人情報保護委員会「身分証明書の写しとして、顧客の個人番号カードをコピーしてもよいですか」
本記事は一般的な実務情報です。品目、取引形態、非対面方式、未成年者取引の扱いが個別に判断しにくい場合は、営業所を管轄する警察署等に確認してください。
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