2026年9月時点の法令・警察・消費者庁の案内をもとに作成
古物商が店舗の外で買取をするときは、まず「どこで品物を受け取るか」、次に「どう訪問し、勧誘・契約するか」を分けて確認します。前者は古物営業法、後者は特定商取引法の訪問購入ルールが中心です。お客様宅で受け取れる場所の条件を満たしても、自由に勧誘してよいわけではありません。
場所・行商・本人確認・記録
訪問前の告知・書面・解除
受取場所は「営業所・相手方の住所や居所・事前届出した仮設店舗」が基本。消費者宅での買取では、飛び込み勧誘をせず、訪問購入の告知、勧誘意思の確認、法定書面、8日間のクーリングオフなどを確認します。
目次:出張買取の順番
- 古物を受け取れる場所を決める
- 行商の許可証・従業者証を準備する
- 仮設店舗なら3日前までに届出
- 訪問購入の目的と商品を伝える
- 査定依頼と売却勧誘を混同しない
- 契約書面、クーリングオフ、引渡し拒絶を確認
- 適用除外と対象外品を個別に確認
古物営業法:古物を受け取れる場所は決まっている
古物営業法第14条は、古物商が買受け等のために古物商以外の人から古物を受け取る場所を制限しています。基本は自分の営業所か取引相手の住所・居所。例外として、日時・場所を事前に届け出た仮設店舗で受け取れます。
駅・カフェ・駐車場で待ち合わせる場合
駅前やカフェ、コンビニ駐車場、公園などは、場所の名前だけで違法と決まるわけではありません。ただし、そこが営業所でも相手方の住所・居所でもなく、届出済み仮設店舗にも当たらないなら、そこで品物を受け取ることは場所制限に抵触するおそれがあります。単なる待ち合わせ場所での受領を通常の出張買取方法として案内せず、受取場所を適法な場所に設定しましょう。
| 場所 | 受取前に確認すること |
|---|---|
| お客様宅 | 取引相手の住所・居所か。訪問購入の勧誘・契約ルールは別に確認 |
| 自社営業所 | 許可を受けた営業所か |
| 催事ブース・期間限定会場 | 仮設店舗として要件を確認し、日時・場所の事前届出をしたか |
| 駅・カフェ・駐車場 | 住所・居所等に該当しないなら、受領場所にしない運用を検討 |
行商:本人は許可証、従業員は行商従業者証
許可を受けた古物商が営業所の外で古物営業をする形態を「行商」といいます。行商をするとき、古物商本人は許可証を携帯します。従業員などに行商をさせる場合は、その人に所定の行商従業者証を携帯させます。相手から求められた場合は提示できるようにしてください。
出張買取だから必ず仮設店舗を届け出る、ということではありません。お客様の住所・居所で受け取る訪問買取と、催事会場などに一時的な店舗を設けて受け取る仮設店舗を区別します。行商の届出・許可証携帯と、仮設店舗の営業届出は別の手続きです。
仮設店舗は営業日の3日前までに届出
仮設店舗で古物営業をする場合は、あらかじめ日時と場所を届け出ます。警視庁は営業日から3日前までの届出を案内しており、宮城県警も同様の期限を案内しています。提出先や方法は都道府県により確認してください。警視庁の案内では手数料はかかりませんが、手数料や手続方法を全国一律と考えず、管轄警察の最新情報を確認しましょう。
9月10日3日前まで
9月7日日時・場所を
事前届出仮設店舗で
営業
仮設店舗では、その店舗ごとに公衆から見やすい場所へ所定の標識を掲示します。届出済みであっても、訪問購入に関する特商法の勧誘・書面ルールがなくなるわけではありません。
特定商取引法:訪問購入には別のルールがある
事業として物品を買い取る業者が、消費者宅など店舗等以外の場所で売買契約を締結する取引は、政令で除外される物品等を除き、特定商取引法上の「訪問購入」に当たることがあります。古物営業法の受取場所が適法でも、それだけで訪問購入の勧誘や契約手続が適法になるとは限りません。
突然の訪問買取・飛び込み勧誘はしない
訪問購入の契約について勧誘を求めていない人に対し、自宅等で売却を勧誘したり、勧誘を受ける意思があるかを尋ねたりすることは禁止されています。いわゆる飛び込み訪問で「何か売るものはありませんか」と持ちかけないでください。
「無料査定の依頼」は売却勧誘の依頼と同じではない
消費者から査定だけを頼まれて訪問した場合、その依頼だけを理由に査定を超えて売却契約を勧誘することはできません。査定依頼と、売却契約の勧誘を求める意思は別として扱います。依頼された内容を超える提案を始める前に、法令上の勧誘要請に当たるか慎重に確認しましょう。
=査定の依頼
=別に確認が必要
勧誘前に伝え、勧誘意思を確認する
訪問購入の勧誘に先立って、少なくとも次の事項を相手に明らかにします。
例:「○○社です。本日は、ご依頼のあった腕時計の買取契約についてご案内するために伺いました。」そのうえで、実際に勧誘を始める前に、相手が勧誘を受ける意思があることを確認します。いきなり価格交渉や契約説明に進まないようにしましょう。
断られたらその場も後日も勧誘をやめる
相手が契約しない意思を示したら、その訪問中に勧誘を続けたり、後日あらためて同じ契約を勧誘したりしてはいけません。「少しだけ」「明日もう一度」と押し続けず、意思を尊重します。
依頼された品物以外へ勧誘対象を広げない
たとえば着物の査定を依頼されたからといって、その訪問で指輪や貴金属の買取まで当然に勧誘できるわけではありません。依頼された品物の種類を確かめ、別の商品へ対象を広げてよいと決めつけないでください。相手からの依頼の範囲と勧誘意思を別々に確認します。
査定・本人確認・取引記録も忘れずに
訪問購入の勧誘ルールを守った後も、古物商としての相手方確認や取引記録は別に必要です。取引内容や金額、品目に応じて必要な本人確認方法・帳簿等への記録を行います。手続の詳細は許可後にやること(記事109)もご覧ください。本人確認の専用ガイドは「古物商の本人確認完全ガイド」で確認できます。
契約したら法定書面を交付する
訪問購入では、契約の申込みを受けたときや契約を締結したときに、特定商取引法と施行規則に沿った書面を交付します。記載事項には、物品の種類・品名・特徴、購入価格、支払時期と方法、引渡し時期・方法、事業者の名称・住所・電話番号、担当者、契約日、クーリングオフと引渡し拒絶に関する事項などがあります。下記は代表例で、法定書面の全項目ではありません。
電子交付が認められる場合もありますが、PDFをメールで送れば常に足りるわけではありません。法令所定の事前説明・承諾などの要件があるため、書面交付の現行ルールを確認します。引渡しを受ける場合、クーリングオフ期間内に物品を渡さなくてもよい権利があることも、相手に告知してください。
法定書面を受け取った日から8日間はクーリングオフできる
訪問購入に当たる取引では、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内、消費者は原則として書面または電磁的記録で申込みの撤回・契約解除(クーリングオフ)を行えます。契約日から単純に8日と数える説明は正確ではありません。期間は適切な法定書面の受領と結び付いています。
受領受領日から
8日間解除の通知は
書面・電磁的記録期間中は
引渡しを拒絶可
クーリングオフ期間内に事業者へ直接品物を渡す場合、事業者は引渡しを拒める旨を告知します。消費者は期間中、品物を手元に置き、引渡しを拒むことができます。
期間中に第三者へ引き渡す場合
購入業者が期間内に品物を第三者へ渡す場合、元の契約相手への通知義務があります。また、第三者に対しても、その品物の契約が解除されることがある旨など、法令に沿った通知が必要です。第三者の名称・連絡先、引渡日、品物情報などを含む所定事項を、定められた方法で通知します。クーリングオフ期間中に転売・加工する運用は慎重に扱いましょう。
「お客様から呼ばれた」だけで適用除外とは限らない
特商法第58条の17には、消費者がその住居で売買契約を申し込み、または契約を締結したいと明確に請求した場合など、一部規定が適用除外となる場合があります。対象となる請求は、訪問査定を頼んだ、問い合わせた、説明に来てほしいと伝えた、というだけで必ず成立するものではありません。
→ 契約申込み・締結の明確な請求とは限らない
→ 個別事情と法定要件を確認
この適用除外に該当する場合でも、法第58条の5の事業者名・勧誘目的・物品種類の明示と、法第58条の6第2項・第3項の勧誘意思確認・再勧誘禁止は適用されます。さらに、依頼した品物以外を勧誘するケースに当然広がるとは限りません。判断が難しい場合は、訪問日時・やりとり・対象品を整理して専門窓口へ確認してください。
訪問購入の規制対象外となる物品
特定商取引法上、訪問購入の規制対象から除外される物品があります。現行の施行令第34条では、自動車(二輪車を除く)、携行が容易なものを除く家庭用電気機械器具、家具、書籍、有価証券、レコードプレーヤー用レコード及び音・映像・プログラムを記録した物が定められています。大きさや品目区分などの判断が必要なものは、名称だけで決めず政令・消費者庁の具体例を確認します。
古物営業法の受取場所、行商、本人確認、取引記録は別に確認してください。
古物営業法と特商法、どちらか一方では終わらない
| 確認すること | 古物営業法 | 特定商取引法 |
|---|---|---|
| 中心となる問い | どこで受け取るか | どう勧誘・契約するか |
| 主な義務 | 場所制限、行商証、仮設店舗届、本人確認、記録 | 訪問前告知、意思確認、再勧誘禁止、書面、解除、引渡し拒絶 |
| 対象外の場合 | 特商法の対象外でも、古物営業法の義務は別途確認 | 古物営業法上の対象外品でも、特商法の規制対象かは別途確認 |
MINE PRIMEで訪問取引を記録する
出張買取でも、店舗買取と同じように顧客・査定・取引・商品・帳票を管理し、どのような取引場所で扱ったか記録する場面があります。MINE PRIMEでは、買取査定・取引管理に加え、取引場所を管理し、取引情報や古物台帳、帳票に関連付けて扱えます。登録情報上の取引場所には「店舗」「出張買取」の例があります。
このアプリが訪問購入の勧誘可否やクーリングオフの適用を自動判断するわけではありません。法定書面への完全適合を保証したり、行商従業者証を代替したりするものでもありません。買取業務の記録を整理したい場合は、MINE PRIMEの機能紹介をご覧ください。
出張買取の1日フロー
対象商品を確認受取場所・
行商準備氏名・目的・
商品種類を告知勧誘意思を
確認して査定本人確認・
金額提示契約書面を
交付引渡し拒絶権を
説明取引記録と
期間を管理
NG / OK:現場で迷いやすいポイント
| NG | 駅で待ち合わせてそのまま品物を受領 | OK | 営業所・相手方住所等・届出済み仮設店舗かを確認 |
|---|---|---|---|
| NG | 飛び込みで「何か売ってください」 | OK | 勧誘を求めた相手か確認し、訪問前に必要事項を告知 |
| NG | 査定依頼を受けて、そのまま売却を迫る | OK | 査定依頼と売却勧誘の要請を区別 |
| NG | 着物査定で訪問し、指輪も当然に勧める | OK | 依頼された物品の範囲を守る |
| NG | 断られても「もう少し」と続ける | OK | 契約しない意思が出たら勧誘終了 |
| NG | 契約したからその場で品物を必ず渡してもらう | OK | 8日間の引渡し拒絶権を告知 |
よくある質問
古物商許可があれば出張買取できますか?
許可に加えて、受取場所、行商時の携帯物、本人確認・記録、訪問購入に当たる場合の特商法上の手順を確認します。
お客様の自宅なら買い取れますか?
取引相手の住所・居所で受け取ることは、古物営業法第14条の場所制限上の基本的な場所です。ただし訪問購入の勧誘・契約ルールは別に守る必要があります。
駅やカフェ、駐車場で査定できますか?
場所名だけで一律に判断できません。受取場所が営業所、取引相手の住所・居所、届出済み仮設店舗のいずれにも当たらない場合、そこで古物を受け取る運用は避け、管轄警察に確認してください。
仮設店舗の届出は何日前ですか?
仮設店舗の営業日から3日前までに届け出ます。提出先・提出方法は所轄の警察案内を確認してください。
お客様が電話で呼んだらクーリングオフはありませんか?
電話で訪問を頼まれただけで適用除外になるとは限りません。その住居で契約の申込み・締結をしたいという明確な意思表示か、依頼された物品は何かなど、法定要件を個別に確認します。
契約後すぐに品物を引き渡さなければなりませんか?
訪問購入のクーリングオフが適用される場合、相手は法定書面を受け取った日から8日間、品物の引渡しを拒めます。
自動車や家具、本は古物営業法も対象外ですか?
特商法の訪問購入規制から除外される物品と、古物営業法の適用は別です。古物商としての場所・確認・記録の義務を確認してください。
MINE PRIMEを使えば訪問購入ルールに対応できますか?
取引場所を含む買取業務の記録管理に使えますが、訪問購入の勧誘可否・クーリングオフ・書面の法令適合を自動判断・保証するものではありません。
ここまで読めばOK:出張買取の5原則
関連記事・戻り先
参考にした一次情報
- e-Gov:古物営業法(第11条・第14条ほか)
- 警視庁:仮設店舗営業届出(3日前まで・手数料)
- 宮城県警:古物営業の申請・届出案内
- 警視庁:行商従業者証の様式
- 警察庁:古物営業法等の解釈運用基準(2026年5月14日)
- 消費者庁:訪問購入
- 消費者庁:特商法解説・訪問購入(第58条の17の適用除外を含む)
- 消費者庁:施行令第34条の対象外物品の具体例
- e-Gov:特定商取引に関する法律
- e-Gov:特定商取引に関する法律施行令
法令や運用は改正される場合があります。個別の場所・勧誘要請・適用除外が不明な場合は、取引内容を整理し、所轄の警察署または消費者庁の公式案内で確認してください。
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