2026年9月時点の法令・警察庁通達・警察の公開案内をもとに作成

古物台帳は、古物商がいつ・誰から・どんな品物を受け取り、どのように相手方を確認したかを後からたどれるようにする記録です。対象となる取引では、必要事項をその都度記録し、原則3年間保存します。専用の紙台帳を買う必要はなく、要件を満たせばExcelなどの電磁的記録も使えます。

先に押さえる6点
  1. まず1万円ルールと例外品から、記録対象か判断する。
  2. 記録対象なら、日付・品目と数量・特徴・相手方情報・本人確認方法を残す。
  3. 記録は受け取り・引き渡しの都度。週末や月末にまとめない。
  4. 紙帳簿と電子記録では、3年間の起算が異なる。
  5. 仕入れ時と売却時では、記録義務の範囲が同じではない。
  6. 身分証のコピーは、古物の取引記録そのものではない。

買取成立から3年間保存するまで

① 相手方を法定の方法で確認
② 査定・条件の確認
③ 買取成立・古物を受け取る
④ 記録対象かを確認
⑤ 対象なら、その都度必要事項を記録
⑥ 紙帳簿または電子記録を要件どおり備え付け・保存
⑦ 3年間保存

「古物台帳」は一般に使われる呼び名です。法律が求めるのは、決まった情報を帳簿等に記載・記録し、必要な期間、営業所等で確認できるようにすることです。警察庁の通達は、取引のたびに記録し、1週間分・1か月分を後でまとめる方法は認められないと説明しています。

古物台帳は紙の専用ノートでなくてもよい

よくある思い込み

警察指定の冊子を購入して、その様式に手書きしなければならない。

法令上の考え方

法定事項を記録し、取引順に追えて、必要な状態で備え付け・保存できる方法を選ぶ。

古物営業法は、所定の帳簿だけでなく、帳簿に準ずる書類や電磁的方法による記録も認めています。取引ごとの伝票を使う場合には、規則に沿って取引順にとじ合わせる扱いがあります。用紙やソフトの名前ではなく、必要事項を記録できるか、保管条件を満たすかで考えます。

全部の買取を記録する?まず記録対象か確認

今回の古物の対価総額を確認
税抜1万円以上?
YES → 原則、相手方確認と買受記録
NO → 下の例外グループに当たる?
YES → 1万円未満でも相手方確認と買受記録
NO → 古物営業法上の買受記録は原則免除

1万円の判定は商品1点ずつではなく、警察庁通達が示す取引の対価総額で行います。詳しい判定例や本人確認の内容は、シリーズの「古物商の本人確認完全ガイド」をご覧ください。

1万円未満でも買受記録の対象になる主なグループ

🏍️ 自動二輪車・原付

車両本体と一定の部分品。ねじ・ボルト・ナット・コード等は部分品の細則を確認。

❄️ 室外ユニット等

エアコンの室外ユニット、電気温水機器のヒートポンプ。

🎮 ゲームソフト

家庭用ゲーム機向けに限らず、コンピュータゲームのプログラムを記録した物。

💿 CD・DVD等

音楽・映画等を光学的方法で記録したディスク。

⚡ 電線

素材を問わず送電を主目的とする電線。LAN・テレビ線・延長コード・充電ケーブル等は別扱い。

▦ 金属製グレーチング

側溝などの金属製の格子蓋。コンクリート製・FRP製は含まない。

📚 書籍

単行本、文庫、漫画など。

対象範囲には品物の状態や部品の種類など細則があります。古物に当たらない廃製品は別制度が関係する場合もあります。個別判断は警察庁通達・施行規則を確認してください。

記録する主な5項目

1取引年月日

古物を受け取った日、または引き渡した日。

2品目・数量

何を何点取り扱ったか。

3古物の特徴

後から同じ品物を見分ける手掛かり。

4相手方情報

住所・氏名・職業・年齢(法令上の例外あり)。

5本人確認の措置

確認の区分と方法など、法定の措置内容。

本人確認をしたことと、帳簿等へ取引を記録したことは別の作業です。住所・氏名・職業・年齢の記録と、本人確認時に採った措置の区分・方法を、取引内容と結び付けて残します。相手方の年齢は、生年月日を記載する方法でも足りると警察庁通達が説明しています。

1件分の記録イメージ

以下は説明用の架空例です。法定の唯一の書式ではありません。実際の項目・表現は取引内容と採用した確認方法に合わせてください。

取引年月日
2026年9月26日
受入区分
買受け
品目・数量
腕時計 1点
特徴
メーカー・型番・製造番号等の識別情報、文字盤の傷など
相手方
住所・氏名・職業・生年月日(説明用の架空情報)
本人確認
対面確認など、実際に採った措置の区分・方法

「特徴」欄は後から品物を見分けられるように

「腕時計」「バッグ」だけだと、同じ種類の商品が複数あるときに区別しにくくなります。警視庁の様式例は、時計ならメーカー・型・番号・傷、自動車なら登録番号・車名・車台番号等を挙げています。品物の性質に応じて、識別につながる情報を具体的に残しましょう。

記載例:情報が少ない

腕時計 1個
ゲーム機 1台
バッグ 1点

記載例:識別の手掛かりを追加

腕時計:メーカー・型番・番号・文字盤の傷
ゲーム機:メーカー・機種・型番・製造番号・外装状態
バッグ:ブランド・モデル・色・素材・目立つ傷

下段は実務で識別しやすくする記入例です。すべての品目に同じ項目を一律必須とする説明ではありません。

品目は原則1品ごと。まとめられる例もある

警視庁が掲載する古物商用の帳簿様式では、品目欄は原則1品ごとです。警察庁通達は、取引実態に合わせた限定的なまとめ記載を認めています。

書籍

同じ人から同時に受け取った書籍は、主要な1冊の書名と「外○冊」、またはコミック○冊・文庫○冊のように種類別の冊数でまとめる方法が示されています。

衣類

個別査定をせず、重さだけで定量的に取引する場合は、同一人から同時に受け取った衣類を「ズボン○kg」など重量単位でまとめられます。

何でもまとめてよいわけではありません。CD・DVD等は原則どおり1品ごとの記録と通達に示されています。書籍・重量取引の衣類の例を、他の商品へ広げないでください。

常連のお客様なら、毎回すべて省略できる?

帳簿様式の備考には、現に使用している同じ帳簿に住所・氏名・職業・年齢が既に記載され、異動がない相手について、氏名以外の相手方事項を省略できる場合が示されています。

同じ帳簿を現在使用中
住所・氏名・職業・年齢を既に記載済み
記載内容に変更なし
この条件なら氏名以外の相手方事項を省略できる

顧客データベースに名前があるだけで、いつでも全項目を省略できるというルールではありません。また、この帳簿記載の扱いは、今回の取引で本人確認が必要か、どのように行うかとは別に確認してください。

本人確認書類のコピーがあれば台帳はいらない?

本人確認書類・画像
相手方が誰かを確認するために使う資料
取引記録とは目的が別
法定対象なら、取引年月日・品目・特徴・相手方情報・確認措置も記録

非対面確認の採用方式によっては、本人確認書類のコピー・画像を取引記録と一緒に保存する要件があります。その場合でも、画像だけで法第16条の取引記録がすべて置き換わるわけではありません。方式ごとの保存要件と、帳簿等の記載事項を分けて管理します。

仕入れ(受入れ)の記録はいつ必要?

仕入れ側では、1万円以上の取引や、1万円未満でも対象となる例外品などについて、相手方確認と買受記録を行います。警視庁の帳簿様式では、受入れの区別に「買受け」または「委託」を記載する形です。

売却(払出し)も、仕入れと同じ記録が必要?

同じではありません。警察庁の2026年5月14日通達の別表は、買受け時と売却時の記録義務を分けています。1万円未満の買受け例外品だからといって、売るときも同じ記録が必要とは限りません。

美術品類・時計宝飾品類

買受け:税抜1万円以上

売却:税抜1万円以上

自動車・自動車の部分品

買受け:税抜1万円以上

売却:税抜1万円以上

自動二輪車・原付の車両本体

買受け:金額にかかわらず

売却:金額にかかわらず

自動二輪車・原付の部分品

買受け:税抜1万円以上。未満でも対象の部分品は記録

売却:税抜1万円以上

ねじ・ボルト・ナット・コード等の除外あり

ゲームソフト・CD/DVD等・書籍・室外ユニット・電線・金属製グレーチング

買受け:金額にかかわらず

売却:この別表では対象外

上記以外の古物

買受け:税抜1万円以上

売却:この別表では対象外

一覧は警察庁通達の記録義務範囲を読みやすく整理したものです。自動二輪車・原付の部分品には、ねじ・ボルト・ナット・コード等の除外や品目の細則があります。自動車を引き渡した場合は、売却先の住所・氏名・職業・年齢等の記載を不要とする扱いもあります。個別品目・取引の判断では通達別表と施行規則を確認してください。

帳簿様式では、払出しの区別に「売却」「委託に基づく引渡し」「返還」を記載します。売却側の記録が必要な品目では、取引区分に応じた内容を記録してください。表の「対象外」は、他の法令や業務上の管理記録まで不要という意味ではありません。

保存は原則3年間。紙と電子で起算が違う

📒 紙の帳簿・帳簿等

その帳簿の使用最終日(受入れに関する最後の記載日)から3年間、営業所等に備え付けます。

帳簿に取引を記載
使用の最終日
その日から3年間
💾 電磁的方法による記録

記録ごとに、その記録をした日から3年間保存します。営業所で直ちに書面に表示できる状態にします。

記録Aを作成した日
記録Aから3年間
記録Bも、記録Bの日から別に3年間

帳簿への記載は、本来の記載事由が発生した都度行います。何らかの理由で記載が遅れた場合でも、実際に遅れて入力した日を使って保存期間を後ろ倒しする扱いではなく、記載すべき日を基準に算定すると警察庁通達が示しています。

Excelやクラウドでも使える?確認したい条件

古物営業法は電磁的方法による記録を認めており、パソコン等に入力する方法も含まれます。Excelで作れば自動的に要件を満たすわけではありません。次の点を運用前に確認します。

  1. 必要事項を漏れなく残せる
    取引年月日、品目・数量、特徴、相手方情報、本人確認措置を、対象取引ごとに記録できる。
  2. 取引ごとに追えて、3年間保持できる
    訂正・削除を含め、必要な記録を保存期間中に確認できる形にする。
  3. 営業所で直ちに表示・印刷できる
    警察庁通達は、各営業所に印刷に必要な機器等を備えることを説明しています。
  4. 本部・クラウド管理なら、営業所から出力できる
    各営業所で直ちに印刷できる限り、データ自体を本社・本部で一括管理することも可能とされています。
  5. 消失や誤削除に備える
    バックアップ方法は業務に合わせて検討します。特定のバックアップ方式が法令で一律指定されているわけではありません。
帳簿等をき損・亡失・滅失したときは、直ちに届出。
バックアップから復元できるかどうかだけで判断せず、古物営業法第18条第2項に基づき、営業所等の所在地を管轄する警察署長への届出を確認してください。

紙・Excel・業務システムの選び方

法令要件を満たすことを前提に、取引件数や店舗数、査定・帳票とのつながり方で選びます。どれか一つが全事業者に最適というものではありません。

紙の帳簿

合いやすい例:取引件数が少なく、手書きで確実に運用できる。

考える点:検索や集計に時間がかかることがある。最終記載後も3年間、営業所等に備え付ける。

Excelなど

合いやすい例:項目や一覧を自分で設計し、検索・集計したい。

考える点:入力漏れ・上書き・ファイル消失への管理と、営業所ですぐ印刷できる環境が必要。

買取業務システム

合いやすい例:顧客・査定・商品・取引・帳票を関連づけたい。

考える点:出力される情報と保存方法が、自店の法令上の運用に合うか確認する。

台帳だけでなく、同じ取引の情報もつなげて管理する

買取業務では、古物台帳のほかに顧客情報、査定内容、商品、取引金額、取引場所、承諾書や明細なども扱います。それぞれを別々に記入すると、同じ取引情報を何度も入力したり、書類間の内容を照合したりする手間が出てきます。

顧客情報  査定内容  商品情報
取引内容  取引場所  帳票
1つの買取取引を軸に、関連する情報を管理
古物台帳・各種書類へ

MINE PRIMEは、査定・顧客情報・取引履歴・古物台帳・各種帳票を管理し、古物台帳や書類をPDF出力できる買取業務支援アプリです。公式情報に記載された機能の範囲で、同じ取引に関わる情報をまとめて扱いたい場合の選択肢として紹介します。

MINE PRIMEの古物台帳(取引別形式)の画面例。取引日、場所、相手方、本人確認、品目・数量・特徴を表示
取引情報と品物ごとの内容を表示する古物台帳の出力例
MINE PRIMEの古物台帳一覧形式の画面例。複数の取引と品目、数量、特徴を一覧で確認できる
複数の取引を一覧で見返す古物台帳の出力例
支援できること

査定・顧客・取引履歴・商品・古物台帳・帳票の管理や、台帳等のPDF出力。

アプリだけでは代わらないこと

本人確認そのもの、法的な記録対象の最終判断、法令適合の保証、盗品かどうかの判定。

アプリの出力を使う場合も、記録対象の判断や必要事項の確認、保存期間・営業所での表示や印刷、紛失時の届出などは古物商自身が運用します。詳しい機能はMINE PRIME公式ページをご覧ください。

ここまで読めばOK:古物台帳7原則

1記録対象か、1万円ルールと例外品を確認
2対象取引は受け取り・引き渡しの都度記録
3日付・品目・数量を残す
4後から品物を見分けられる特徴を記録
5相手方情報と本人確認措置を記録
6紙と電子で起算を分けて、3年間保存
7電子記録は営業所ですぐ表示・印刷できる状態にする

間違いやすいNG / OK

NG:月末にまとめて入力

OK:対象取引が発生した都度記録する。

NG:「腕時計1個」だけで特徴欄を終える

OK:後から識別できるメーカー・型・番号・状態などを記録する。

NG:免許証コピーを保存したので帳簿はいらない

OK:本人確認資料と取引記録を別々に扱う。

NG:紙でも電子でも、帳簿の最後の日から3年

OK:紙は帳簿使用の最終日、電子は各記録をした日から3年。

NG:古物台帳は決まった紙冊子だけ

OK:所定の内容・保存条件を満たせば電磁的方法も使える。

NG:仕入れた商品は売却時も同じ項目を全部記録

OK:売却時の記録義務は品目や金額で異なる。

NG:データを復元できたので紛失届は不要

OK:毀損・亡失・滅失時は法令上の届出を確認する。

よくある質問

Q. 古物台帳は必ず必要ですか?

記録対象となる古物の受入れ・払出しについて、法令上の必要事項を帳簿等に記載・記録します。すべての買取を無条件に同じ方法で記録するわけではないため、1万円ルールと例外品を先に確認してください。

Q. 1万円未満のゲームソフトも買受記録が必要ですか?

ゲームソフトは1万円未満でも買受時の相手方確認・記録対象です。売却時の記録義務は別に整理します。

Q. 商品の型番や製造番号は必須ですか?

品目・特徴は、後からその古物を識別できるように記録します。型番・番号は識別に役立つ情報の例ですが、全品目で同じ項目が一律必要という意味ではありません。車両など法令・様式で必要事項が示される品目は、その内容を確認してください。

Q. 本を100冊買い取ったら100行必要ですか?

原則は1品ごとですが、書籍は同一人から同時に受け取ったものを、書名と冊数や書籍の種類別の冊数でまとめる方法が通達に示されています。CD・DVD等にはこのまとめ記載を広げず、原則1品ごとに記録します。

Q. 常連客なら住所などを毎回書かなくてよいですか?

現に使っている同じ帳簿に住所・氏名・職業・年齢が既に記録され、変更がない等の条件を満たすときに、氏名以外の記載を省略できる場合があります。顧客登録済みなら常に省略できるという意味ではありません。

Q. 免許証番号も帳簿に書く必要がありますか?

必要な記録事項は相手方情報や採用した本人確認措置などです。免許証番号を一律に記録するという説明はできません。実際の確認方式に応じて、法令・警察案内を確認してください。

Q. Excelやクラウドで管理してよいですか?

電磁的方法による記録は認められています。ただし必要項目を記録でき、3年間保存でき、各営業所で直ちに書面に表示・印刷できることなどを確認します。「Excelだから」「クラウドだから」自動的に要件を満たすわけではありません。

Q. 紙の帳簿はいつから3年間ですか?

帳簿等の使用最終日、つまりその帳簿に最後の記載をした日から3年間です。記録事由が起きた都度の記載が原則です。

Q. 電子記録はいつから3年間ですか?

各電磁的記録をした日から、それぞれ3年間保存します。記録を遅らせて保存期間を後ろへずらす扱いにはできません。

Q. 売ったときも仕入れ時と同じように記録しますか?

同じではありません。売却側は品目・金額によって記録対象が限られます。警察庁通達の別表と施行規則で、対象品目と例外を確認してください。

Q. 帳簿をなくしたり、壊したりしたら?

帳簿等や電磁的記録のき損・亡失・滅失があった場合は、古物営業法第18条第2項に基づく届出が必要です。直ちに所轄警察署長へ届け出る扱いを確認してください。

Q. MINE PRIMEを使えば法令対応が完了しますか?

いいえ。MINE PRIMEは買取業務・古物台帳・帳票の管理や出力を支援するアプリです。本人確認、記録対象の法的判断、法令適合の保証を自動で行うものとしては案内していません。

古物商シリーズ:ここまでの振り返り

本人確認を振り返る

参考にした法令・警察の一次情報

本記事は一般的な実務情報です。対象となる品目・取引区分・営業所での保存方法に迷う場合は、最新の法令・通達を確認し、営業所を管轄する警察署に相談してください。